「ユニバーサルデザインの教科書」の著者「中川 聰」氏との出会いが人生を変えた 2018版?!

ユニバーサルデザインの教科書 オヤジでも知りたい

日本のユニバーサルデザイン規格「JIS-X-8341-5」と、それがベースとなって日本主導で制定された国際規格「ISO/IEC 10779」。これに携わることが出来たのは、トライポッド・デザイン代表の中川 聰氏との出会いがきっかけでしたが?

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ユニバーサルデザインの教科書

当時の肩書はプロダクト・環境デザイナーであったトライポッド・デザイン社代表の中川 聰が監修した「ユニバーサルデザインの教科書」を買って読んだのは、今から15年前の2003年に当時勤務していた富士ゼロックスユニバーサルデザインチームに配属された時です。

最初に担当したコピー機のユニバーサルデザイン関連の仕事は、セブンイレブンへ設置が予定されていた新マルチコピー機の画面デザインを中心とする操作性の改善でした。いわゆるUI(ユーザーインタフェース)です。

7イレブン 新マルチコピー機

もちろん担当はHDIF(ヒューマン・デザイン・インタフェース)部門でしたが、ここの担当者の大半は美術大学卒などのデザイン専門で、マルチコピー機に実装して評価するには開発部門に依頼して試作機を作らなければならないので、あまりにも時間がかかり過ぎていました。

そこで趣味の3DCGで使っていた、当時最先端だったグラフィック技術Adobe Flashを使って、デザイナー自身パソコン上でマルチコピー機の画面デザインを試作して、実際にマウスを使ったタッチ操作で動かせる仕組みを実現させました。

7イレブン 新マルチコピー機 画面デザイン

これを使うと、従来は新しい画面デザインを実際に試すまでに数ヶ月かかっていたのを、わずか数時間で行えるようになり、限られた時間内での試行錯誤の回数は飛躍的に増え、ネットを介した遠隔地間異部門間での「操作の共有」という概念も生まれました。

もっとも、トップ顧客企業とのコラボという関係から、企業秘密に属するものも多く、中川氏から教わった「小さなことでも優れた技術は世の中に広めよう」とは対極の状況に置かれてしまい、少々悩ましい期間がありましたが・・・

私は全くのユニバーサルデザインのド素人から出発しましたが、中川氏に出会った事が、私の職業人生のみならず、人生観大きく変えるきっかけとなりました。

中川氏からの最初のプレゼント

出会って1年が経過した頃に、中川氏から最初の贈り物をもらいました。1冊の小さなスケッチブックと多色のコンパクトなクレヨン・セットです。

「夜寝る前に、その時の頭の中にある想いを、そのスケッチブックにクレヨンで描きます。物言わぬイメージは、10年後、100年後に世の中へのプレゼントになっていますよ。」

当時の私は、帰宅して食事や入浴を済ませると、パソコンに向かって3DCGによる美少女CG作品の制作に没頭していました。Poserという人体専用の3DCGソフトを使った作品のネット上のコミュニティーに参加していたので、そこで公開して仲間から掲示板でバカにされるのが楽しみでした。

当時の私は3DCGでいかにリアリティーを出すかが課題だったので、最初にそのスケッチブックに描いたのは中川氏の想定に反してリアルな「妻の顔」でした。

「ナニコレ!?」

「中川さんからのプレゼントなんだけど・・・」

眉間に皺を寄せていた妻の顔がパッと明るくなりました。人間誰しも有名人の名前を出すと、不味い料理美味しく感じてしまうお手本みたいなシーンでしたが・・・

今から思うと、その時のイメージからは無限の情報が引き出せます。愛情が故のストレス、理解されない歯がゆさ、最初にプレゼントした偽物のオープンハートのネックレスを本物のティファニーより愛する妻の不思議さ・・・

中川氏の贈り物の本当の価値が15年経って初めて理解できたような情けない私ではありますが、それも時空を超えた出会いの「偶然的な必然性」の象徴かもしれません。

中川氏からのプレゼント(その後)

私の言葉より、この人の記事からナルホドと思える情報が得られます。

虎の穴入門合宿/トライポッド・デザイン代表取締役 中川 聰氏

その中から抜粋を引用します。

ユニバーサルデザインにおいて世界でご活躍されている
中川さんの講座に参加してきました。

凝り固まった思考から発想を広げるための内容で、
本当にたくさんのことを学びましたが、
以下の3つは特に心がけたいと思いました。

●思い、本能、直感を鍛える。
→データや論理、根拠に頼りすぎると本能的な直観力が廃れてしまう。
自分の直感を信じることも大切。

●気づきを身体を動かして形(Visualize)にし、仮説化する。
→気づいたことはしゃべるだけでなく可視化することで
周りと共有でき、議論が深まる。

●間違いや恥を恐れない。
→例えば、恥をかくことを恐れて会議でも発言しなかったり、
挨拶しなかったりすることはないか?

 

また、自分の限界を勝手に決めてしまわず、
不確実な世界に飛び出す勇気をもつこと
それが今の自分に必要なことだとも感じました。

私より1歳年上ですが、60過ぎの身には同世代のオヤジに変わりはありません。オープンカーのポルシェで出勤して「あの満員電車でよく我慢できますねぇ~」と皮肉を言われても憎めない愛すべきキャラが、トライポッドの若い女性社員との会話の中にも感じられました。

財産というものは、お金や地位や名誉などには代えられない、目に見えないものの中に存在していると今になっては気づきます。「具体的にナニ?」と聞かれてもうまく答えられませんが、その時は「空気のようなものかも?」と答えておきます。

つまり、スケッチブックとクレヨンから先の中川氏からのプレゼント目に見えない空気のようなものだったので、具体的には表現できませんが、私だってオープンカーのポルシェ911カレラなら持っているけど・・・

ポルシェ911カレラ

JIS X 8341は「人にやさしい」と読む

JIS規格制定のためのJBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)の担当者に任命された時は、社会人になって1年目に突然「北海道に転勤が決まった」と言われ呆然となった時と同じような気持ちになりました。「飛ばされるのか・・・」と。

ところが、北海道での3年間の生活の記憶はかけがえのない私の宝物のひとつですし、JBMIAでライバル企業(キャノン、リコーなど)の担当者と仲良く協力し合って制定した「JIS X 8341-5」と、その後にJBMIAが主導で制定した日本発の国際規格ISO/IEC 10779」に携われたのは私の誇りです。

ではなぜ今の日本にとって、この2つの規格が重要性を増しているのでしょうか?

日本は超高齢社会に突入

日本の障がい者の割合は、世界の中では非常に低いです。

世界の障がい者率

これは、最も多い精神障がい者数の割合が、日本は海外と比べると1桁低いのが要因のひとつだと思います。

一方で、年齢別世界的な人口構成を見ると、日本は超高齢社会の最先端を行っています。その主な原因は少子高齢化です。

さらに今後、日本の人口は急激に減少する見込みですが、アメリカやイギリスなどの先進国人口が増加し続ける予測なので、日本の未来に対する危機感があります。

日本の人口構成と将来像

イギリスの人口構成と将来像

日本の少子高齢化や人口の減少にどう対応するのか難しい課題ですが、先進国の例の中に多くのヒントがあるので、それ自体は長期的には解決の方向に向かうと信じています。

では「」をどう改善するのか?については、日本の役割は重要だと思います。日本発の「共用品」の概念が、欧米でも受け入れられ「アクセシブル・デザイン」として定着しつつあります。

アクセシブル・デザイン

より多くの人が使いやすい」という発想は日本発の技術です。それは「目の不自由な人でもシャンプーとリンスの容器の違いが触ってわかる」という、今では当たり前になっているちょっとした工夫が、他の業界でも広く応用されています。

これを「点が線になり面になる」と言います。概念水平分散型ネットワークです。

しかしそれは、毎日1円2円のコストダウンノルマとして与えられて苦労しながら働いている技術者やプランナーやデザイナーにとっては、ユニバーサルデザインは目の上のタンコブです。コストアップにつながりかねない。

「リスクを回避する事が、最もリスクとなる」

まとめ

なぜ日本は「より多くの人にやさしい」商品で世界をリードしているのでしょうか?

私には「ジャパン・クオリティー」「クール・ジャパン」「日本のモノ作り文化」などの中にそのヒントを発見できるのでは?と考えています。

仕事でアメリカに出張して感じたのは、アメリカ人の発想は「足し算」だということ。まったく新しい技術をクリエイトする能力は凄いです。そして新しい機能をどんどん足して改良していく。

ところが、日本人は「引き算」の発想が得意です。シンプルにすることで物事の価値を高めていく。そこには飽くなき「本質の追求」精神があると思います。

「簡素な形にこそ、真実がある」

中川氏から教わった最高の「真実」とは「ピュアーな心」です。

ではでは、きらやん

 

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